「消費税ってどうやって勉強すればいいの?」
「経理に配属されたけど、課税区分がわからず困っています。」
おそらく、こんな悩みをお持ちの新人経理の方は多いと思います。
実は、消費税の学習はポイントを押さえて勉強すれば、最低レベルの知識はすぐに身につくんです。
実際に、僕は新人教育を担当してきた中でも、新人のほとんどが配属から1か月の研修で、日々の業務に支障のないくらいのレベルはマスターできています。
この記事では、僕が新人に教えてきた経験をもとに、みなさんが消費税を学ぶ際のコツを紹介していきます。
この記事を読み終えると、消費税の初心者を脱する方法がわかるでしょう。
消費税のオススメの勉強法ってありますか?
まずは基本から勉強することだよ。
経理では消費税の知識が必須です
まず、経理に配属前の方向けに「経理になぜ消費税の知識が必要なのか?」を説明しておきます。
こちらはみなさんが経理に就いたときに、実際に仕訳入力をする画面例です。
(画像引用)https://www.fx4.zyamagishi.jp/fx4ope_input/
ご覧のとおり、仕訳入力には「消費税の情報」も必ず入力を求められます。
仕訳がわかっていても、「①消費税区分」「②消費税率」がわからなければ、仕事にならないんですね。
でも、実はこの仕訳入力の業務って、経理では基本的な業務なので配属直後から従事することになります。
ここで消費税の項目が埋められず、多くの新人経理がつまずく訳です。
簿記では消費税の仕訳しか習わないため、ほとんどの方が実務で必要な消費税の知識は0に近い状態にあります。
新人経理としてスタートダッシュを切るには、まず配属前に「①消費税区分」「②消費税率」の2つは押さえておくべきでしょう。
学習のコツ
さて、具体的な学習法に入っていく前に、知っておきたい「消費税学習のコツ」を2つご紹介しておきます。
ここを見落として、いつまでも力がつかない経理部員をよく見ますので、必ず確認しておいてください。
まず超入門から始めよう
まず、消費税のみならず「税金」の勉強をするときは、必ず初心者向けの教材から学びましょう。
「税法を勉強するぞ!」と意気込んだ人の多くがやってしまいがちな失敗の代表例として、分厚い実務書をドンッと買ってしまうケースが多いです。
僕の周りでも、結構やってしまってる人が多いのですが、99%挫折しています。
法人税、所得税、消費税とさまざまな税法がありますが、範囲は広いですし、複雑な制度も多いです。
それなのに、1冊だけで税法をマスターしようなんてそもそも無理だと気付きましょう。
しかも、そういう分厚い本は枝葉の知識である場合が多く、細かい知識になります。
例えるなら、学校の教科書も終わっていないのに、難関大向けの応用問題集を買うようなものです。
まずは、基本を押さえないと知識が積み上がりません。
初めは「誰でもわかる」「超入門」などの文言が入った初心者向けの教材を使用しましょう。
先にざっくり全体を把握することが、税法攻略の近道です。
自分に合った学習法を探そう
では、次は学習法を種類別に紹介していきます。
僕がオススメしている学習法は下記の4種類です。
- 公的機関の資料で学ぶ
- 本で学ぶ
- 動画で学ぶ
- 検定で学ぶ
それぞれの詳細の説明はこれからしていきますが、今の時代は学習環境がより良くなっています。
ご自身が動画学習向きだと思えば、無料のコンテンツだけでも十分学習可能ですし、活字で勉強したいと思えば、無料の公的機関の資料や書籍から学ぶこともできます。
「消費税を学ぶ」というと、気が重い方もいらっしゃると思いますので、ご自身に合っている学習法を取り入れて、精神的ハードルを下げましょう。
動画なら、わたしでもできそうです!!
今はいろんな学習法があるから、好きなものを選ぶといいよ。
オススメ学習法
ということで、前提の説明が長くなってしまいましたが、ここから具体的学習法の説明に入っていきます。
公的機関の資料で学ぶ
まずご紹介したいのが、公的機関から無料で公開しているパンフレットを利用する方法です。
国税庁や商工会議所などの公的機関から、消費税に関する資料は多く出ています。
昔は、読みづらい資料が多かった印象ですが、最近は初心者向けにわかりやすい図解やカラーのイラストで非常に読みやすいコンテンツになっています。
無料なので、一度資料にざっと目を通してみて損はないです。
何よりも国税庁が出す資料は基本に忠実に書かれており、間違いない資料なので経理なら読んでおきたいコンテンツだと言えるでしょう。
国税庁のオススメ資料
国税庁の資料で僕が1番オススメしているのは、「消費税のあらまし」です。
一通りの基礎知識が学べますし、国税庁のパンフレットとは思えないほどレイアウトも見やすいです。
ぜひ全体像を知るのに使ってみてください。
ちなみに、まず初めにやるべきは「②どんな取引が課税対象?~④免税される輸出取引は?」の部分です。(ダウンロード後に確認してください)
最初に説明した「課税区分」といわれる分野です。
最低限押さえておいたほうがいいと思います。
商工会議所のオススメ資料
意外と知られていないのですが、商工会議所のコンテンツは優秀です。
特に中小企業の経理にはオススメ。
カラー版のイラストで超初心者向けコンテンツが多いのでぜひ取り入れてほしいです。
先ほど紹介した国税庁の「消費税のあらまし」は「軽減税率」や「インボイス」の分野の解説が少ないので、その分野を商工会議所のパンフレットで学ぶといいです。
代表的なパンフレットを挙げておきますので、目的別にご活用ください。
- 「今すぐ確認!消費税軽減税率制度対策(フォローアップ編)」
まずはここから読んでみてください!
- 「今すぐ確認!消費税軽減税率制度対策(経理処理編)」
フォローアップ編が終わったら、こちらです!
経理処理を学びましょう!
- 「中小企業のための消費税軽減税率導入と消費税転嫁対策」
「今すぐ確認!消費税軽減税率制度対策(フォローアップ編)」よりも更にレベルを下げた資料を見たい方はこちらがオススメです。
- 「今すぐ始める軽減税率対策(小売/卸売向け)」
小売・卸売業界にお勤めの方はこちらも合わせて確認しましょう。
- 「今すぐ始める軽減税率対策(飲食店向け)」
飲食業界にお勤めの方はこちらも合わせて確認しましょう。
- 「今すぐ確認!中小企業・小規模事業者のためのインボイス制度対策」
「インボイスって何?」っていう方にオススメです。
よく聞くワードだと思うので、概要を押さえておくとよいでしょう。
本で学ぶ
次に、本で学ぶ方法をご紹介します。
この方法で最も大事なのは「①初心者向けの書籍を選ぶこと」、「②経理実務者向けの書籍を選ぶこと」です。
書店に行くと並んでいる税法の書籍のほとんどが、専門家向けの書籍になります。
なので、専門家向けの分厚い本を選んでしまいがちです。
でも、みなさんがまず読むべきは「初心者向け」の書籍です。
初めは、必ずやさしめの教材からスタートしましょう。
また、もう一つ注意点。
消費税となると、一般の方にも身近な税金になります。
なので、実はフリーランス向けの消費税の本も多いです。
ベストセラーになるような本は、ほとんど一般大衆向けになりますので、「経理実務者向け」の書籍を選びましょう。
とはいえ、この2点を満たす本を初心者には判断がつかないと思いますので、僕のほうでタイプ別に3冊に絞って紹介しますね。
ちなみに、経理の上級者になれば、本から学ぶことは多くなります。
初心者のうちから、書籍からの学習に慣れておくと将来のスキル習得につながるでしょう。
①クマオーの基礎からわかる消費税
新人経理の方に、まず紹介したいのはこちらです。
消費税の基本的な知識がこの1冊に詰め込まれています。
この本を僕がオススメしている1番の理由は、解説が丁寧だからです。
他の初心者向けの書籍は、薄い代わりに、内容も薄く、解説も割とあっさりしています。
しっかり解説されてはいないので、予備知識のない初心者には読み進めるのが難しいです。
これに対し、この本は少し厚い本になっているかわりに、解説がひとつひとつ丁寧にわかりやすく書かれています。
ですので、初心者にとても読みやすいです。
迷ったら、これを選んでおけば間違いないでしょう。
ちなみに、「第1章 消費税の基礎知識」「第2章 課税区分の判定」の章をまずはマスターしてください。
実務ですぐ使う知識です。
②一夜漬け消費税:「できる!」経理担当者入門
次に紹介するのは「一夜漬け消費税」です。
こちらの書籍は、経理担当者向けに作られている本になります。
全体像をざっくり知りたいという方には、こちらをオススメしています。
一つ一つの単元が短いため、移動などのスキマ時間にサクサク読み進められます。
特に、各章の冒頭にある「5分間レクチャー」という要点まとめはありがたいです。
「端的に言うとどういう話?」というところが、見開き1ページで見れるようになっています。
まずこの1冊を読んで、ざっくり消費税の全体像を知り、実務書にステップアップしたいです。
ちなみに、「第2章 軽減税率制度」「第3章 課税される取引・課税されない取引」の章は、先に押さえていきましょう。
③図解ポケット|消費税がよくわかる本
最後に、「消費税がよくわかる本」を紹介します。
こちらの書籍は、かなり薄くポケットサイズの本であることが何よりの特徴です。
さらに、内容の半分が図解で書かれているので「勉強が苦手な方」はこちらからチャレンジするのがよいでしょう。(Amazonのリンク先で一部レイアウトがご覧になれます。)
内容的にもかなりやさしく、はじめの1冊としてサラッと読むのに適しています。
消費税に対して毛嫌いしている人でも、すぐに読めてしまうボリュームです。
ちなみに、「3 消費税はかかる?かからない?」の章が特に読んでほしいところになります。
ぜひ超入門にご活用ください。
動画で学ぶ
続きまして、「動画で学ぶ」という学習法を説明していきます。
今の時代は非常に恵まれた時代で、無料動画で消費税が学べます。
無料とは思えない高クオリティ動画ですので、ぜひ利用しましょう。
ちなみに、僕がオススメしているのは①ふくしままさゆきさんのYouTube②CPAラーニングの税務実務コースです。
以下で具体的に説明していきます。
①ふくしままさゆきさんのYouTube
簿記の人気YouTuberふくしままさゆきさんが経理向けの消費税講義動画を公開しています。
他のYouTubeでも消費税の動画はたくさん出てくると思うのですが、ほとんどがフリーランスや経営者向けのコンテンツになるので経理には物足りないです。
ふくしままさゆきさんの超入門講義では、事務系の方向けに作られていますので、安心して利用できます。
ちなみに、動画内のSTEP4が「課税区分」にあたるところなので、最優先でマスターしましょう。
②CPAラーニングの税務実務コース
簿記・会計が無料で学べるCPAラーニングにも消費税を学べる講義動画があります。
※会員登録が必要です。
税務実務コースという税法が学べるコンテンツがあり、「ギャルおりさ」こと栗林先生が実務家講師として教壇に立たれています。
何よりも、公認会計士・税理士の先生の講義を無料で受けられるというのはありがたいです。
他であれば、ほとんど数万円はくだらないと思います。
また消費税以外の税金についても学べるコンテンツが盛りだくさんなので、CPAラーニングはぜひ登録しておきたいです。
ちなみに、「課税区分」にあたる動画は「#02 消費税の概論②」になります。
まずこちらを優先的にマスターしましょう。
検定試験で学ぶ
最後に消費税を検定試験で学ぶのもありです。
「消費税にオススメの資格はないの?」
と聞かれたときに僕が推しているのは「全経消費税法(正式名称:全国経理教育協会消費税法能力検定)」です。
全経消費税法では、消費税を体系的に学べるので、時間的に余裕のある方には自己研鑽に最適だと思います。
税理士試験の「消費税法」を受けようとする方もいらっしゃいますが、レベルが高すぎるので経理なら「全経消費税法」で十分です。
公式テキストのリンクを張っておきますので、ぜひ受験を検討してみてください。
検定もいいかも!!力が付きそう!!
体系的に勉強できるから、3級から始めるといいよ。
まとめ
- 経理では消費税が必須知識である
- 税法の学習は超入門のコンテンツから始める
- 4種類の学習法の中から自分に合った学習法を見つける
いかがだったでしょうか?
今回の記事では、経理の消費税学習の始め方をまとめてみました。
ご自身に合った学習法で「消費税の入口」を学びましょう。
まずこの記事で土台を作って、実務的な応用知識にレベルアップしていけばさらにいいです。
消費税のわかる経理になって、自分の市場価値を上げていきましょう。
※この記事は、消費税の学習法を示すものであり、税額等を明示するものではありません。個別のご相談は税理士へお願いいたします。
また、改正・適用年度等には十分注意してください。
なお、本コンテンツは紹介したものの正確性を保証するものではありません。
不利益があった場合でも一切の責任を負いかねます。